2010年4月4日


モスクワの中心街を走る地下鉄で発生した自爆テロは、チェチェン紛争の後遺症が全く癒えていないことをはっきりと示した。

特に一人の女性テロリストが自爆したルビヤンカ駅は、秘密警察旧KGB(現FSB)がある場所であり、旧ソ連そしてロシアの暴力装置のシンボルである。

そうした場所をあえて選んだことに、ロシアに弾圧されたチェチェン・ゲリラの強い怨念と闘志を感じる。

ただし、地下鉄やバスなどを狙った無差別テロを完全に防ぐことは不可能だ。

モスクワのテロで犯人は多数の人を殺傷するために、爆発物を仕掛けたチョッキに多数の金属片を入れていた。

そして通勤客で混雑する朝8時ごろを選び、列車が地下鉄駅に止まってドアが開いた瞬間に爆発物を点火した。


ヨーロッパに住んでいる我々にとって、地下鉄テロは他人事ではない。国際テロ組織アルカイダは、アフガンに戦闘部隊を送っているドイツに対しても、テロを行うという警告を発しているからだ。

私はミュンヘンで地下鉄に乗るたびに、そのことが脳裏をよぎる。